フィジー諸島は天国に例えられますが、現地の人々の日常生活は観光客が見ている外見よりも複雑です。

観光客にとって、フィジーは白い砂浜や、カップルがハネムーンを楽しむための理想的な水上コテージ、青い海です。「天国」は、多くの人がフィジーを思い浮かべる際に最初に考える言葉でもあります。しかし、島に住む人々にとっては、状況はもっと複雑です。

レストラン「ヴァサカ」のオーナーであるTJ・パテルは、国際空港があるナディ市の地元出身です。彼は、地球上の様々な人々が自分のレストランに食事に来るのを見慣れており、フィジーを世界地図で見つけられる人が非常に少ないことに早く気づきました。

「オーストラリアを地図上で見つけられないなら、干草の中に針が隠れているのを見つけるのは非常に稀です」とパテルは言います。「干草の中の針」とパテルが表現したのが、人口が100万人にも満たない南太平洋の島々、フィジーです。その約50%が首都スバに住んでいます。この国には、英語、フィジー語、インディアン・フィジー語の3つの主要言語があります(インディアン・フィジー語はインド系の人々によって話されています)。この地理的な曖昧さが、観光客がこの国の実際の生活について誤った仮定をする原因となっています。

「多くの人はフィジーの人々が常にビーチにいると思っています」と、地元のライフスタイルブロガーで広報専門家のエヴリン・マニは言います。実際、フィジーにはビーチやカラフルなカクテルだけではありません。

パテルによれば、フィジーは人々が互いに知り合いで、他の場所で働くために出て行った人々も故郷に戻り、重要な祝い事に参加したいと思うような、強い絆のある国です。

フィジーの本島であるビティ・レブは、車で5時間もあればすべての隅々を回れるほど小さく、そのため、交際年齢に達する頃には島の他の人々とすぐに知り合うことができます。

フィジーで最も重要なコミュニティイベントはカヴァの儀式です。カヴァは軽い麻薬成分を含む根の植物で、粉末にして水と混ぜられます。人々は「タノア」と呼ばれる大きなボウルからこの飲み物をすくって飲みます。

国際的なゲストもカヴァの儀式に参加でき、1杯の飲み物を招待されます。これはゲストを自宅に迎える際の歓迎の行動です。

カギ・ラトゥダムはラスラセ村で育ち、これらの儀式を非常に大切にしています。彼は村を訪れる誰もが伝統的な儀式で迎えられると言います。地元の人々は、独身を知らせるために左耳にハイビスカスの花やプルメリアの花を付け、右耳には既婚であることを示します。

ラトゥダムはビティ・レブの南端にあるパシフィックハーバーの近くにある高級ホテル「ナヌクリゾート」で働いています。一方、彼の村のほとんどの人々は野菜を栽培して生計を立てています。

アメリカ人のシャンタエ・レデンは、2017年に夫と共にスバに移住しました。彼女は地元の人々のコミュニティライフが好きですが、慣れるまでには時間がかかりました。彼女がフィジーで最も楽しいと思った体験の一つは映画を見に行くことです。「フィジーの人々はスクリーンに向かって叫ぶのが好きで、特にホラー映画を見ている時にはなおさらです」と彼女は言います。

シガトカというビティ・レブの南西部にある町で育ち、現在スバに住んでいるマニは、フィジーの人々は島の穏やかな気候のおかげで運動を楽しむのが好きだと言います。マニはランニングやヨガが好きで、ジムやハイキング、水泳、ダイビング、その他のアウトドア活動で人々と友達になります。「ラグビーをプレイしていれば、フィジーのほとんどの人と友達になれます」とレデンは言います。

ラグビーはフィジーの国技であるだけでなく、宗教的な意味合いも持っています。この国のラグビーチームは2016年と2020年のオリンピックで金メダルを獲得しました。フィジーのラグビーマッチが行われると、人々はやるべきことをすべて放り出して画面に集中します。

あまり運動が好きでない人々も、スバではアート展示会の見学や絵画、ライブ音楽など、常に何かをすることができます。島の2つの都市、首都スバと空港のあるナディには、多くのセンター、高層ビル、国際ブランドがあります。しかし、レデンによれば、観光客はフィジーの別の側面を見つけるために遠くへ行く必要はありません。

都市部では、人々は普通の3ベッドルームのアパートに住んでいます。しかし、郊外に出ると、木材や金属で作られた居住区に似た多くの家を見ることができます。これらの家のほとんどはプレハブ住宅です。

フィジーは太平洋の中心と見なされ、多くの現地住民が英語を話します。ここには高速Wi-Fiもあり、アメリカ、カナダ、日本、シンガポール、オーストラリアへの直行便も多くあります。

海外から多くのものがフィジーに入ってきている一方で、島の「頭脳」は外に流出しています。高い教育を受けた若い世代は、オーストラリアやニュージーランドなどの他の国に移住し、より多くの収入を得ようとしています。

世界銀行はフィジーを「脆弱な国」として分類しており、約1.3%の人々が貧困に暮らし、50%以上の人口が1日7ドル未満で生活しています。

レデンの夫は、政府が地元の人々に優先して仕事を提供するため、島で外国人が仕事を見つける機会はあまりないと付け加えます。「ボランティアの仕事を見つけるのも難しい」とレデンは言います。




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