アイスランドや日本が、犯罪率の低さや親しみやすい国民性から、旅行者にとって最も安全な10か国にランクインしました。

世界有数の旅行保険会社であるバークシャー・ハサウェイ・トラベル・プロテクションの専門家は、2025年の最も安全な国のランキングを発表しました。このリストは、実際にその国を訪れた旅行者の調査結果や、世界平和度指数、GeoSure Globalの安全スコアなどを基に作成されています。同保険会社によると、この評価方法はバランスが取れており、特定の国に有利な点数が与えられることはありません。

1.アイスランド

アイスランドは昨年の9位から順位を上げ、2025年のランキングで1位に選ばれました。この国には「リングロード」とも呼ばれる国道1号線があり、全長約1,300kmにわたって島全体を一周し、主要な都市や観光地を結んでいます。この道路は交通量が非常に少なく、渋滞が発生することもほとんどありません。そのため、旅行保険会社の専門家は「そもそも道路を走る車が少ないため、交通事故が発生する可能性は極めて低い」と評価しています。

また、アイスランドは犯罪率が非常に低い国の一つであり、旅行者にとって安全な環境が整っています。しかし、その一方で自然災害のリスクが伴います。特に火山活動が活発な地域が多く、現在も複数の火山が活動を続けています。突然の噴火による影響や地震の発生リスクがあるため、旅行者は最新の気象情報や火山活動の状況を確認しながら行動することが求められます。それでも、厳しい自然環境が生み出す絶景は、多くの観光客を魅了し続けています。

2. オーストラリア

オーストラリアは第2位にランクインしました。ヨーロッパやアメリカといった人口密集地域から遠く離れた場所に位置しているため、ここに住む人々は、オーストラリア生まれであることや、仕事の機会を求めて移住したことなど、明確な理由を持って定住しています。このような背景から、オーストラリアは犯罪率が低く、安全な国として評価されています。特に、調査に参加した保護者から高い評価を得ており、子どもを育てる環境としても安心できる国とされています。

しかし、その一方で、オーストラリアには注意が必要な自然の脅威も存在します。クロコダイルや毒蛇、外来種を含む危険な野生動物が多く生息しており、特に自然の多い地域では警戒が必要です。また、サイクロン（超大型台風）や森林火災といった自然災害も発生しやすく、旅行者にとって潜在的なリスクとなります。とはいえ、壮大な自然や豊かな生態系は、多くの人々を魅了し続けています。

3. カナダ

カナダは昨年の1位から順位を下げ、今年は3位となりました。カナダの犯罪率は非常に低く、また、世界で9番目に人口密度が低い国でもあります。バークシャー・ハサウェイ・トラベル・プロテクションの専門家は、「加害者も被害者もほとんどいない場所では、犯罪が起こる可能性は極めて低い」と指摘しています。そのため、カナダは依然として安全な国の一つと見なされています。

しかし、カナダには自然ならではの危険もあります。特に、野生動物との遭遇には注意が必要です。道路を横断するヘラジカや、国立公園などに生息するクマなど、大型の野生動物が観光地や高速道路沿いに出没することがあり、事故のリスクが伴います。自然の美しさと広大な国土を誇るカナダですが、旅行の際はこうした野生動物との接触にも十分気をつける必要があります。

4.アイルランド

アイルランドは昨年と同じ順位を維持し、引き続き安全な旅行先として評価されています。治安が良く、地元の人々も親しみやすいため、旅行者にとって安心して過ごせる環境が整っています。

しかし、アイルランドを旅行する際に注意すべき点として、非常に狭い道路が挙げられます。特に田舎の道は幅が狭く、カーブが多いため、海外からの旅行者にとって運転が難しく感じられることがあります。左側通行に慣れていない人にとっては、さらに注意が必要です。

それでも、アイルランドは旅行しやすい国の一つとされています。公共交通機関が充実しているうえ、主要な観光地は比較的アクセスしやすいため、移動に困ることは少ないでしょう。また、観光地の案内が分かりやすく整備されているため、現地のガイドを雇わなくても、自分のペースで名所や美しい風景を楽しむことができます。歴史的な街並みや壮大な自然、伝統的なパブ文化など、アイルランドならではの魅力を気軽に体験できるのが、この国の大きな魅力の一つです。

5.スイス

スイスは昨年より3つ順位を下げました。

それでも、スイスの主要都市であるバーゼル、チューリッヒ、ベルン、ジュネーブなどは非常に高い安全性を誇り、テクノロジー企業GeoSure Globalによると、安全スコアは85～90％と評価されています。そのため、都市部では比較的安心して旅行できる環境が整っています。

しかし、スイスを訪れる際には注意すべき点もあります。観光地ではスリや置き引きが発生することがあり、特に混雑したエリアや公共交通機関を利用する際は警戒が必要です。また、近年は雪崩や洪水といった自然災害のリスクが増加しており、冬季の山岳地帯や大雨の影響を受けやすい地域では特に注意が求められます。美しいアルプスの風景や安全な都市環境が魅力のスイスですが、旅行の際はこうしたリスクも考慮しながら計画を立てることが重要です。

6. ニュージーランド

ニュージーランドは昨年より5つ順位を上げ、安全な旅行先としてさらに高い評価を受けました。

この国の特徴の一つは、オーストラリア以上に孤立した地理的条件です。周囲を広大な海に囲まれており、世界の主要都市からのアクセスも限られているため、犯罪組織の影響が少なく、治安の良い環境が維持されています。その結果、観光客がランダムに犯罪に巻き込まれるリスクは非常に低いと評価されています。実際に、街中でも安心して歩けるエリアが多く、夜間の外出でも比較的安全です。

また、ニュージーランドは豊かな自然に恵まれ、山や湖、ビーチなどを楽しめるアクティビティが充実しています。しかし、その一方で、地震や突然の天候の変化といった自然のリスクにも注意が必要です。特に山岳地帯や沿岸部では、強風や急な気温の低下が発生することがあるため、登山やアウトドアを楽しむ際には十分な準備が求められます。

それでも、ニュージーランドの治安の良さやフレンドリーな国民性、そして手つかずの大自然は、多くの旅行者にとって大きな魅力となっています。安全かつ快適に過ごせるこの国は、特に一人旅や家族旅行にも最適な旅行先と言えるでしょう。

7. ドイツ

ドイツは昨年より11ランク上昇し、第6位にランクインしました。

この評価の背景には、「秩序があり、管理が行き届いているうえ、多くの観光客が訪れる」という点が挙げられます。ドイツの都市部は治安が良く、観光客にとって比較的安全な環境が整っています。特に、ベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、フランクフルトなどの人気都市は、公共インフラの整備が進んでおり、旅行者が快適に移動できるようになっています。

さらに、ドイツの農村部は都市部以上に安全とされています。地方の小さな町や村では犯罪率が非常に低く、のどかな風景と落ち着いた雰囲気の中で安心して旅行を楽しむことができます。また、公共交通機関の利用が便利で、鉄道やバスを使って簡単に地方へアクセスできる点も魅力の一つです。

ドイツは歴史的建造物や文化的な魅力が豊富で、旅行者にとって見どころの多い国ですが、治安の良さという点でも安心して訪れることができる目的地となっています。

8.ノルウェー

ノルウェーは前年と比べて5位下がったものの、依然として世界のトップ10にランクインしています。首都オスロはヨーロッパで最も安全な都市の一つとされていますが、それ以外の地域の大部分は広大な田舎が広がっています。特に北部には手つかずの自然が多く、約22万頭以上のトナカイが生息している一方で、人口は非常に少ないのが特徴です。

また、北極圏に位置するスヴァールバル諸島は観光地としても人気がありますが、極寒の気候や限られたインフラのため、旅行には注意が必要です。特に医療施設が少ないため、滞在中に病気や怪我をすると適切な治療を受けるのが難しく、危険な状況に陥る可能性があります。そのため、この地域を訪れる際には、事前の準備を万全にし、十分な健康管理を行うことが重要です。

9. 日本

日本は昨年の12位から9位へと順位を上げました。専門家によると、これは「人口が少ない国ほど安全である」という一般的なルールの中で、非常に珍しい例外とされています。通常、犯罪率が低い国は人口密度が低い傾向にありますが、日本はその常識に当てはまらない独特な存在です。

日本は世界で最も人口密度が高い50カ国の一つに含まれていますが、それにもかかわらず、殺人発生率は世界で12番目に低い水準を維持しています。この安全性の背景には、厳格な法律と徹底した治安維持システム、地域社会の協力、教育による規律意識の高さなど、多くの要因が関係していると考えられています。また、日本の公共交通機関の安全性や、財布を落としても戻ってくるような誠実な国民性も、治安の良さを象徴する要素の一つといえるでしょう。